喫煙者だけど喫煙が体に悪いというということを気にしている、という方は、一度はこんなことを考えたことがあるんじゃないでしょうか。
「タバコを吸うことは体に悪くって野菜を食べることは体にいいっていうなら、タバコを吸うことと野菜を食べないことはどちらが体に悪いんだろう?」
この疑問の答えになるような情報を『禁煙外来へようこそ』という本を読んでいたら見つけたのでここでご紹介したいと思います。
タバコを吸うことと野菜を食べないことはどちらが体に悪い?
『禁煙外来へようこそ』は禁煙外来に訪れる患者さんそれぞれの、40個の物語を綴ったもので、主体は「お話」ではありますが、そのお話の間にちょっとした禁煙・喫煙に関する「ミニレクチャー」が挟まれています。
その一つにこんなことが書かれていました。
発ガンには放射線をはじめ、いろいろな要因が関係しますが、中でも大きなウェイトを占めるのがたばこです。たとえば緑色野菜を毎日食べることはガンを減らしますが、毎日緑色野菜を大量に食べる喫煙者と緑色野菜を食べない非喫煙者では、後者のほうがガンになりにくいのです。喫煙者は禁煙しなくてよい理由を見つけようとしますが、医学的には禁煙の必要性は明白に確立されているのです。
ここでは野菜は「緑色野菜」、健康については「発がんのリスク」と限定されていますが、「タバコを吸うことと野菜を食べないことはどちらが体に悪いんだろう?」という疑問の答えになることが書かれています。
答えは「タバコを吸うことの方が、野菜を食べないことよりも体に悪い」ということになります。
膵がんの場合は野菜を食べる喫煙者の方がリスクが高い?
もちろんこれは「野菜を食べない非喫煙者より野菜を食べる喫煙者の方がガンになりやすい」ということなので、単純に序列化するならこうなるはずです。
野菜を食べる非喫煙者>野菜を食べない非喫煙者>野菜を食べる喫煙者>野菜を食べない喫煙者
とりあえず非喫煙者、喫煙者問わず、野菜は食べた方がいい、ということになります。
例外となるデータ?
しかし気になるデータもあります。
数万人規模で集めたある統計では、膵(すい)がんに限っていえば、野菜を食べる喫煙者の方が野菜を食べない喫煙者よりも罹患(りかん)リスクが上がったというデータです。
参照記事によると、研究グループは「その関係についてはよくわからない」「今回の調査では膵がんの症例数が必ずしも十分ではなかったので今後の調査研究が必要」としており、記事執筆者は「研究グループが指摘するように偶然かもしれないし、野菜に含まれる物質とタバコ由来物質が関連し合っているのかもしれない」と断定することを避けています。
ちなみに非喫煙者では野菜を食べる・食べないで罹患リスクが変わらず、なおかつ果物に関しては非喫煙者・喫煙者問わず食べた方が罹患リスクは下がったそうです。
結局、このデータに信憑性があるのだとすれば、あらゆる発がんリスクを回避するには「禁煙」というただ一つの選択肢しか存在しない、ということになります。
以上、ご参考になれば幸いです。